独立時計師特集【第8回】 藤野の伝えたいこと

時計人気の維持と高まる希少価値
藤野です。独立時計師特集も第8回で最終回となります。
今回は、腕時計やヴィンテージ腕時計市場の、これから10年間の動向について、いくつかの要因を考慮して予測を立ててみます。
また、私の時計に関する考えも、特集の総括として最後に伝えたいと思います。
※私の所持している時計の中から、いくつかピックアップして画像で紹介したいと思います
時代が流れれば、状態の良いアンティークやヴィンテージ時計は市場でさらに希少になり、コレクター間での需要は高まります。特にオリジナルパーツを保った個体には、プレミアム価格が付きます。ブランドの歴史や時計の製造背景に注目する消費者は年々増加しており、限定生産モデルや特定の年代に残るデザインが注目されていくと予測されます。
機械式時計が世代を越えて引き継がれるアイテムとして人気が高まっていますが、現代はスマートウォッチの普及も急速に進んでいます。
(私も使用しております)
アンティーク時計の真贋鑑定や来歴確認には、ブロックチェーン技術やAIといった次世代の技術を活用するサービスも増加する可能性があります。
これにより、購入者の売買に対する信頼感は向上しますが、時代の変化というのも感じますね。

Ref.4006-7012
/ 1976年
コレクター層の拡大
ソーシャルメディアの影響は強く、インフルエンサーや時計専門のYouTuber、Instagramのコミュニティがアンティーク腕時計の価値を広め、市場の拡大を促進させています。
ミレニアル世代やZ世代など、若い世代の参入で、過去のクラシックデザインやサステナブルな消費への関心も高まっています。新たな市場層が形成されています。
各種動向
有名ブランド(ロレックス、パテックフィリップ、オメガなど)のヴィンテージ時計は、投資対象としての人気が続き、価格が高騰すると考えられます。また、高価なモデルだけでなく、中価格帯のヴィンテージ時計にも注目が集まっており、市場が分散化する可能性もあります。

/ 1970年代
規制や法整備の影響
環境保護や文化財保護の観点から、アンティーク品の輸出入に新たな規制がかかるとの声もあります。特に希少素材(象牙、金、希少な金属など)を使用した時計は今後、影響を受けるかもしれません。
また、模造品の精度が高まることで、真贋鑑定のサービスや取引のプラットフォームが重要な役割を果たすようになるでしょう。
中国やインドなど、アジア市場等の新興国市場では、ヴィンテージ時計への関心が高まり続けています。世界的な需要の増加にも直結しています。欧米では引き続き堅調に市場は推移するのではないでしょうか。

/ Ref.150
特集の総括【藤野】
ヴィンテージやアンティーク腕時計は、アナログの魅力や歴史的価値が評価され続ける中で、価格や人気がさらに高まる傾向が見込まれます。
一方で、技術や規制の変化が市場の形を変え、コレクターにとっては新しい課題が生まれるようになるでしょう。限られたパイでの市場で、時計の争奪戦が激化することは間違いなさそうです。
・株価の予想のように値上がりしそうな時計の価値を見出す。
・生まれ年に製造された時計を購入する。
・徹底的に付属品(箱、ペーパーなど)にこだわる。
・磨いて、リダンをしたとしても新品同様が良い。
・傷だらけで文字盤が変色していても、オリジナルが良い。
などなど、時計にするこだわりは多種多様ですが、どれも正解なのです。
時計の本来の楽しみ方は、その作られた時代の歴史を含む背景、職人の情熱、パーツ一つ一つの凄さ、そしてご自身の価値観を確立して楽しんでほしいものです。
あなたの選んだ時計が正しい!のです。

/ 1978年

この記事を書いた人-監修
藤野
Sマンを定年退社した元店長
製薬会社の研究開発からこの業界に入り、お金持ちにオールドパテックを売りまくる。
時計愛を拗らせてパテックからオメガやセイコーのデジタルウォッチまでこよなく愛する哲学者。
最近は昭和ノスタルジーとセイコーと愛犬のウィリアムに思いを寄せる

この記事を書いた人-
SY
イリスラグジュアリー新人時計ライター。
ブランドの歴史を研究中。