オメガ『クロノチャイム&スピードマスタースピレイト』の
プレゼンテーション
先日大変貴重な機会を頂き、オメガの『クロノチャイム&スピードマスタースピレイトのプレゼンテーション』に行ってきました。
場所は2007年5月に世界初の「時のランドマーク」として銀座に誕生した「ニコラス・G ・ハイエック センター」です。「21世紀のイノベーター」の一人に選ばれた坂茂氏による設計で、大壁面の垂直庭が来訪者に癒しのひとときを与えてくれます。会場は銀座の夜景を見れる広々とした14階のイベントホールで、天井はスチールパーを網状に組んでつくっています。
会場に着くと記者会見のようなバックパネルが用意してありフォーマルな雰囲気です。メディアには半年以上前に公開されているので、今回メディアはいません。選ばれたコレクターのみの招待です。フォーマルな雰囲気の中でも、気兼ねなく話せるように中心には大きなソファーテーブルが2卓ありました。初めましての時計コレクターの方と会うのは初めての経験だったのでとても新鮮でした。
正規店の担当者から招待の連絡があり、承諾すると招待メールを頂けます。
【直営店】の担当者が時計の好きな上顧客から招待者を選べ、その情報は共有されています。少なくてもカノープスゴールドなどの金無垢以上を一本買う必要があり、その後の購入も見込める人が選ばれていそうです。
部屋の奥に入るとまずは大きな箱が2つと、スピードマスタースピレイトのパーツが並んでいました。
スピレイトとは「spiral」「rate」を組合せた造語で、10年の歳月と約1000回の試作を経て完成したそうです。テンプを動かしたまま0.1秒単位で調整できる画期的な調速機は、1999年に発表されたコーアクシャル脱進機のように、オメガの全製品に搭載される予定だということです。
実はこれはかなり凄いことです!!
リシャール・ミルであれば数千万円で販売されて数十本しかつくらないシステムを全製品に搭載するというオメガの気前の良さに驚きです!
天文学から時間を細かく測ることで、物理学が発展し、人類の化学は発展していきました。ガリレオが自分の脈拍で時間を測った時代から考えると、テンプの発展は0.1秒の調整が可能になったのです。
ここまで読んできて恐らく時計好きの方は同じ調速機のトゥールビヨンと何が違うのか気になっていると思います。
トゥールビヨンが外的要因から発生する誤差を平均化するシステムで、調整には熟練の経験が必要ですが、スピレイトはオメガの技術者が簡単にタイミングを調整することができることを意味します。
オメガはこのシステムでカスタマーに対するタイミングのパーソナライズを目標にしているそうです。ここが大きな違いだと思います。
スピレイトの後はクロノチャイムの発表です。
これはオメガと「オリンピックのチャイム」の歴史をオマージュして作られた複雑時計です。
ムーブメントにはオメガだから可能にした18カラットのセドナゴールドのハンマーとリングがつかわれています。
通常の金は柔らかく太く濁る音色でチャイムには適しませんが、オメガのセドナゴールドは固く、それを可能にしています。
また、銅とパラジウムを含んでおり、オリンピックの銅製のベルに近い音のように思えました。
複雑なマスターピースを作ることによりオメガのブランドイメージを高級メーカーに押し上げるために必要なマスターピースです。
これを搭載したスピードマスターのケースは伝説のセカンドの血統を引くデザインです。
ではなぜ、ムーンウォッチの血統を引くフォースのデザインにしなかったのでしょうか?それは同じようなオメガのアイコンのデザインの中でもセカンドの方がミニッツリピーターにあうフォルムをしていたからだと思います。
鳴り物であるミニッツリピーターはケースのデザインも音色に影響を及ぼすからです。文字盤のアベンチュリンも実物の方がとても美しかったです。
最後に実はサプライズがあり(これはオフィシャルにはできないのですが・・・。)気付いたら4時間が経過していました。
難しい物理学の公式も出てきた本気でとっても密度の高い勉強会でした。
他のライターが書いてないことを書いてみましたが、いかがでしたか?
ここまでつらつらと書き連ねましたが。ズバリ!!スピードマスタースーパーレーシングとクロノチャイムはゲームチェンジェーになるオメガの期待の時計です。ぜひ、買えたらお勧めします!
この記事を書いた人-
コレクターOY
オメガファンの時計ライター。