GIA G.G.が教えるジュエリー豆知識
〜宝石は石なのにどうして高いのか?宝石の定義とは〜
『宝石は高いもの。』勿論そうなのですが、なぜ高いのか考えたことはありますか?
宝石は道端にある石と同じ鉱物なのに何が違うのか。それは宝石の定義にあります。
宝石の定義とは・・・・
『大自然が生み出したもので、美しくかつ硬度があり希少性のあるもの。』です。
この大自然が生み出したものがポイントです!
宝石は地中の奥深くで熱いマグマの熱気と非常に高い圧力によって生み出され、このあと穏やかな冷却によってゆっくりと時間をかけて形成されます。
ちなみに長い時間と聞いてどれくらいかかるかイメージはつきますか?宝石にもよりますがだいたい数百万年から数十億年かかると言われています。
この厳しい条件下でかなりの年月をかけて美しく条件の揃ったものが生み出されることがまず奇跡です。
そう考えると道端にある石と宝石は似て非なる物だとお分かりになると思います。
また自然の中で生み出されることで工業製品とは違って同じものは一つも存在しません。
ジュエリーショップに行くとインクルージョン(内包物)という言葉を耳にすることがあると思います。
これは宝石が地中で形成される際に影響してできる構造であったり、形成途中で地中から取り込んだ物質のことを指します。
ご存知の通り土地も個性があるので、同じダイヤモンドでも産地によっては黄色味がかったものが多く産出されたり、大粒のものが出来やすかったりと違いが出てきます。
また代表的なカラーストーンで言えば鮮やかなブルーが美しいサファイアですが、こちらも産地によって異なるブルーを現します。そして色の出方によっては目玉が飛び出るほどの価格を叩き出します。
自然の中で形成されると言うことが宝石にあらゆる影響を与えています。
ある意味、クリスティーズやサザビーズに出品される絵画と同じだと思っています。
各宝石のアンデンティティでもあるインクルージョンを持つ宝石と言うものは一点物の絵画と同じ存在です。だからこそ存在価値があるのです。
昨今ラボグロウンダイヤモンドがもてはやされていますが、この出自の違いが天然の宝石を宝石たらしめる要因であり、より魅力的でロマンティックな存在にしていると思っています。
天然宝石は今もなお人々を魅了してやみません。
この記事を書いた人-
ayaka
アンティーク・ヴィンテージウォッチに出会って10年以上。現在改めて時計の仕組みを勉強中。
GIA G.G.(米国宝石学会 宝石鑑定士)を持ち、ジュエリーの仕入れからオーダー制作までを行なっている。